未経過固定資産税とは — 消費税の扱いと仕訳・経理処理
未経過固定資産税(固定資産税精算金)とは
不動産の決済では、買主から売主へ「固定資産税の精算金」というお金が支払われます。中身は、引渡し日から後の期間に対応する固定資産税・都市計画税の相当額です。「未経過固定資産税」「固都税精算金」とも呼ばれます。
名前に「固定資産税」とついていますが、このお金は税金の支払いではありません。税務上の扱いを整理すると、次の1行にまとまります。
精算金は税金ではなく、売買代金の一部。
税金そのものは、精算をしてもしなくても、1月1日時点の持ち主である売主が納めます。精算金は当事者間のお金のやり取りです。金額の計算方法は 固都税の日割り精算ガイドで解説しています。
税金ではなく「売買代金の一部」
「税金ではなく売買代金の一部」という整理は、国税庁が質疑応答事例で公式に示しているものです。精算金は役所に納める税金ではなく、当事者間の公平をはかるためのお金のやり取りであり、不動産の譲渡対価(売買代金)の一部にあたる、とされています(出典: 国税庁 質疑応答事例「未経過固定資産税等の取扱い」)。
この整理が、これから説明する消費税と経理処理のすべての前提になります。
消費税の取扱い
売買代金の一部である以上、消費税の扱いも建物・土地の代金と同じになります。
建物分の精算金には消費税がかかる。土地分にはかからない。
土地の売買はもともと消費税のかからない取引のため、精算金も建物分だけが課税対象になります。これは売主が消費税を納める事業者である場合の話です。整理すると次のとおりです(出典: 上記の国税庁 質疑応答事例、および 全日本不動産協会の解説)。
| 売主側 | 買主側 | |
|---|---|---|
| 建物分の精算金 | 課税売上 | 課税仕入れ |
| 土地分の精算金 | 非課税売上 | 非課税仕入れ |
売買契約書の段階で精算金の建物分・土地分の内訳を分けて記載しておくと、決済後の経理処理がスムーズになります。
売主側の経理処理
売主が受け取った精算金は、売却代金に上乗せして扱います。
個人が売主の場合は、譲渡所得(売却による利益)を計算するときの収入金額に含めます。国税庁の質疑応答事例でこのように整理されています(出典: 国税庁 質疑応答事例「未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合」)。法人が売主の場合も、考え方は同じです。
注意したいのは、「税金が戻ってきた」ものとして租税公課のマイナスにする処理です。精算金は税金の返金ではないため、この処理にはなりません。
買主側の経理処理
買主が支払った精算金は、租税公課として経費にすることはできません。
経費ではなく、土地・建物の取得価額(物件の購入代金)に含める。
精算金は売買代金の一部であるためです(出典: 上記の全日本不動産協会の解説)。建物分は減価償却を通じて、少しずつ費用になっていきます。
買主の仕訳のイメージ
借方: 建物(建物本体価格 + 建物分の精算金)
借方: 土地(土地本体価格 + 土地分の精算金)
貸方: 現金預金(売買代金 + 精算金の合計)
実際の処理は取引の条件や事業の形態によって変わります。個別の税務判断は、税理士等の専門家にご確認ください。
よくあるご質問
Q.固定資産税の精算金に消費税はかかりますか?
建物分にはかかります。土地分にはかかりません。精算金は税金ではなく売買代金の一部、というのが国税庁の整理だからです(土地の売買はもともと消費税がかかりません)。売主が消費税を納める事業者の場合の話なので、細かい判断は税理士にご確認ください。
Q.買主が支払った精算金は経費(租税公課)にできますか?
できません。売買代金の一部なので、買った土地・建物の値段(取得価額)に含めて記録します。建物分は減価償却を通じて、少しずつ経費になっていきます。
Q.個人が売主の場合、受け取った精算金はどう扱いますか?
売却代金と同じ扱いです。国税庁の質疑応答事例で、受け取った精算金は譲渡所得(売却の利益)の収入に含める、とされています。
