不動産大手のAI活用事例9選【2026年版】売買・販売・管理業務はどう変わった?
不動産大手のAI活用は3タイプに分かれる
2026年に入ってからも、不動産・住宅大手によるAI活用の発表が続いています。各社の取り組みを並べて見ていくと、内容はおおむね3つのタイプに分かれます。
- ① 自社の物件・業務情報をAIに読ませる — 物件情報・周辺情報・社内資料をAIに読ませ、「探す・調べる・答える」を任せる
- ② 既存AIで日々の作業を短くする — 情報収集・社内検索・点検レポートなど、毎日くり返す作業をAIで短くする
- ③ 自社データで判断を自動化する — 住宅プラン提案・危険予知・設備運転など、「判断」に近い仕事を蓄積データで支援・自動化する
①は手元の資料をAIに読ませることから始められ、②はそれを毎日の業務に組み込む段階、③は自社データの蓄積が前提になります。①→②→③の順に、AIに任せる範囲が広がっていきます。以下、タイプごとに3社ずつ、計9つの事例を見ていきます。売買・販売に近い事例を中心に、開発・管理の事例も取り上げます。
※本記事は、導入主体が不動産・住宅大手本体で、自社の営業・販売・開発・管理業務にAIを使っている取り組みを、原則として導入企業自身の公式発表で確認してまとめています(2026年7月時点)。不動産会社向けAIサービスの販売実績の紹介は対象にしていません。実証実験・試験段階のものは、その旨を明記しています。
タイプ① 自社の物件・業務情報をAIに読ませる
自社サイトの物件情報や、物件周辺の情報をAIに読ませて、顧客や社員の「探す・調べる・答える」を任せるタイプです。売買・販売の最前線で使われ始めています。
三井不動産リアルティ — 物件詳細ページを読む「リハウスAIチャット」
三井不動産リアルティは2026年1月、売買仲介「三井のリハウス」の公式サイトで、生成AIの相談サービス「リハウスAIチャット(β)」の提供を開始しました。AIが表示中の物件詳細ページの情報を読み取り、物件に関する質問のほか、住宅ローン・購入手続き・不動産用語といった疑問に24時間365日答えます。会話の内容をもとに、利用者に合わせた質問をAIの側から提案する機能もあり、購入時に確認すべきポイントの見落としを減らす設計です。
出典: 三井不動産リアルティ ニュースリリース(2026年1月13日・PDF)・リハウスAIチャット サービス紹介ページ
東急リバブル — 生成AIチャット「テラストーク」を本格稼働
東急リバブルは2026年1月、公式サイトの大幅リニューアルを発表しました(1月21日から段階公開)。2025年3月から先行導入していた生成AIチャット「テラストーク」は、利用状況に合わせて会話精度と使いやすさを高め、直感的な発話にも対応できるよう調整したうえで本格稼働。細かな検索条件を入力しなくても、会話を通じて物件を探したり、不動産の疑問を解消したりできます。あわせて、サイト上の行動に基づいて物件や情報を集約する「For You」も導入し、新着物件の確認やAI査定価格の推移チェックを一つの画面にまとめています。
出典: 東急リバブル ニュースリリース(2026年1月23日)・公式ストーリー記事(2026年5月21日)
三井不動産レジデンシャル — 周辺住民の声を学習した販売サロンAI
三井不動産レジデンシャルは2026年6月、複数の新築マンションを紹介する販売拠点「三井のすまい 新宿サロン」をリニューアルオープンしました。販売物件の近隣に住む人から暮らし方や住み心地の生の声を集め、それを学習させたオリジナルの生成AIチャットボットを構築。購入検討者は現地マップと連動した画面で、買い物施設や子育て環境、周辺での実際の暮らし方について質問できます。広告文や施設情報だけではわからない「実際に住んでいる人の声」をAIに読ませた例です。
タイプ② 既存AIで日々の作業を短くする
情報収集や社内検索、点検レポートの作成といった、毎日くり返し発生する作業をAIで短くするタイプです。効果が出るのが早く、社内展開の入り口になりやすい領域です。
東急不動産 — 業界ニュースを毎朝自動で収集・分析・音声配信
東急不動産は2026年3月、従業員向けのAI情報分析システムを開発したと発表しました。自社事業に関連する重要記事を毎日自動で取得・分析し、複数の記事を音声コンテンツにまとめて毎朝定時に配信します。社員が毎朝行っていたニュース収集の時間を減らしながら、要点を整理して届ける仕組みです。なお同社は同月、生成AIを使った会議支援システムの自社開発・特許出願も発表しています。
出典: 東急不動産 ニュースリリース(2026年3月13日)・同 会議支援システム(2026年3月27日)
三菱地所 — 社内情報検索とデータ集計・分析に生成AI
三菱地所は2026年4月の公式発表で、生成AIを社内情報の検索や、データの集計・可視化・分析に活用していることを明らかにしています。生成AIを単独で入れるのではなく、グループ横断で効率的にデータを収集・分析するためのデータ連携基盤の整備を並行して進めている点が特徴です。利用人数や削減時間などの数値は公表されていませんが、社内検索と分析という「どの会社にもある業務」に生成AIを組み込んだ例です。
三井不動産 — ビル設備データの検索・レポート作成を実証中
三井不動産は2026年5月、「日本橋一丁目三井ビルディング」で、映像・IoT・生成AIを使ったビル設備管理の実証実験を開始しました(キヤノンマーケティングジャパンなどとの4社連携)。中央監視システムが持つ約5,000点の設備データに加え、これまで現場で目視確認していたアナログメーターをカメラで読み取り、センサーのデータとあわせてクラウドに集約。生成AIによる検索・要約で、異常の早期把握や遠隔での点検支援にどこまで使えるかを検証しています。まだ実証段階ですが、担当者が現地を巡回して確認していた業務の省力化を目指す取り組みです。
タイプ③ 自社データで判断を自動化する
蓄積してきた住宅プラン・現場のノウハウ・操業データを使って、提案や危険予知、設備運転といった「判断」に近い仕事を支援・自動化するタイプです。効果は大きい一方、データの蓄積と整備が前提になります。
大和ハウス工業 — 2,000以上の住宅プランからAIが最適案を即時提案
大和ハウス工業は2026年2月、自社が保有する2,000以上の戸建住宅プランからAIが最適なプランを即時に提案する「AIプランコンシェルジュ ver.2」を発表しました(燈社と共同開発)。2025年10月から全国の営業現場で使ってきた初代版を大きく更新したもので、敷地内での建物の配置やゾーニングを踏まえた検索に加え、「和室を足したい」「アイランドキッチンを優先したい」といった個別のこだわりも反映できるようになりました。従来はヒアリングからプラン提示まで約1週間かかることが一般的だったところを、初回の商談から具体的な住宅案を示せるようにする狙いです。
出典: 大和ハウス工業・燈 プレスリリース(2026年2月5日)
長谷工コーポレーション — 現場写真から危険と対策のたたき台を自動生成
長谷工コーポレーションは、生成AIを使った危険予測支援システム「ゲンバノメ」を独自開発し、首都圏の全建設現場(発表時点で129カ所)に導入しています。施工管理者が工種・作業内容・天候・気温を入力し、現場写真をアップロードすると、AIが熱中症や足場の不安定さなど想定されるリスクと対策を具体的に提示します。安全の最終判断はあくまで人が行い、AIは熟練者が経験で行っていた危険予知のたたき台を、若手の施工管理者も使える形にした位置づけです。発表は2025年9月で、関西・東海など全エリアへの展開を進めるとしています。
出典: 長谷工コーポレーション プレスリリース(2025年9月9日)
丸の内熱供給 — 過去の操業データから設備操作を提案(実機試験中)
三菱地所グループの丸の内熱供給は2026年4月、地域冷暖房プラントの操業自動化に向けたAI「PlantPilot」の取り組みを公表しました(Preferred Networksとの連名発表)。2026年2月から、大手町のプラントでAIを実際の設備につないだガイダンス試験を開始しています。AIは過去の操業データと運転ノウハウを学習し、センサーデータから設備の将来の状態を予測して、最適な操作案を提示します。約50年にわたり24時間365日動かし続けてきたプラントの運転を対象に、2027年度中の本格稼働(操業自動化)を目指すとしています。売買からは離れますが、「自社のデータとノウハウで判断を自動化する」形を最もはっきり示す不動産グループの事例です。
自社で始めるなら、どの順番か
9つの事例を並べると、進め方の順番が見えてきます。
まず①で自社の情報をAIに読ませる。次に②で毎日の作業に広げる。データが貯まったら③へ。
①は、手元の物件資料や社内資料をAIに読ませて質問することから始められます。三井のリハウスや東急リバブルのような「顧客がAIに直接質問できる」形も、自社の情報をAIが読める状態にすることが出発点です。②は、それを毎日の業務に組み込む段階です。ニュースの収集や社内検索、レポートの下書きなど、くり返し発生する作業に当てはめると効果が続きます。③は住宅プランや現場記録、操業データといった自社データの蓄積が前提になるため、①②を回しながらデータを整えていくのが近道です。
ここまでの9事例は、いずれも大手の取り組みです。ただ、①や②の始め方そのものは、会社の規模に関係なく同じです。まずは実際にAIツールを操作して、自社の業務のどこで使えるかを確かめるところからです。グリリでは、不動産業務に特化したAIセミナーを無料で開催しています。手元の資料をAIに読ませるといった①の第一歩を、その場で体験いただけます。
不動産業専門 AIセミナー
AIの実務活用は、無料セミナーで体験できます
不動産業務に特化したAIセミナーを無料で開催しています。実際にAIツールを操作しながら、自社の業務での使いどころを学べます。
無料AIセミナーの詳細を見るよくあるご質問
Q.小さな不動産会社でもAIは活用できますか?
できます。この記事の①や②のような活用は、大がかりなシステム開発が不要で、多くの生成AIツールは月数千円程度から使えます。手元の物件資料をAIに読ませたり、物件紹介文の下書きやメール文を作らせたり、毎日の業務から試すのが定番です。
Q.何から始めればよいですか?
まず①(自社の物件・業務情報をAIに読ませる活用)からが定番です。手元の資料をAIに読ませて質問するだけでも、効果を実感しやすいためです。次に②(日々の作業の効率化)へ広げ、データが貯まってきたら③(判断の自動化)を検討する、という順番が現実的です。
Q.AIの使い方はどこで学べますか?
グリリでは不動産業専門のAIセミナーを無料で開催しています。実際にAIツールを操作しながら、不動産業務のどこでどう使うかを学べます。AI知識がない方でも参加できます。
